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プロローグ
愛していると言ってくれますか。

僕の心の声が聞こえますか。

いつまでも傍にいてくれますか。

まだまだ子供のような僕だけど、

君への想いは変わらないよ。

もし僕が太陽なら君を照らし続けるだろう。

もし君が夜空の星ならば僕を輝かせるだろう。

このゲームが終わりを迎える時、

君と出会った最後の日を、

僕らはそれを、奇跡と呼んだ。

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第一章 01 もうひとりの自分
「・・・うん、ありがとう。」
「いいんだよ。いつだって電話してくれれば。」
「・・・蓮は、優しいね。」
「そんなことないって。明日も早いんだし、そろそろ寝ようか。」
「そうだね、本当にありがとう。おやすみなさい。」
「おやすみ。」

・・・電話が切れる音がした。

・・・。

・・・。


だめだ。

震えが止まらない。

怒りを鎮めることができず携帯をベッドに投げつけた。
バンという音に合わせ携帯は二回ほど弾み部屋の端っこに飛んでいった。

「ちくしょう!!」
ベッドに座り込み、自然と頭を抱える。
冷静さを保とうと思っても感情をコントロールできない。

「くぅ・・・。」
歯を食いしばり呼吸が荒くなっていく。

「・・・お前は何がしたいんだよ!」
自分に言い聞かせることで精一杯だった。

部屋の外をみると澄み切った夜空がにじんでみえた。

涙が止まらない。

数匹の鈴虫がリーンリーンと静かに鳴り響いていた。
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第一章 02 隣の席
電話の相手は南 絢音(みなみ あやね)、僕の彼女だ。

絢音は小学校からの幼馴染で、家が近かった僕らは、学校帰りに近所の公園に寄って砂遊びやかけっこをしてよく遊んでいた。
やがて5時を知らせるチャイムが鳴る。

「バイバイ、また明日ね。」
と手を振って絢音は走って家に帰っていった。

ふと足元をみると作りかけの砂山が僕を寂しそうにみている。
急に寂しくなって山の周りに円を描いて“ここはだめ!!“って印をつけたんだ。
空を見上げて、また明日も続きができますようにとお願いしたっけな。

中学一年生の時は、同じクラスで隣の席になったこともあった。
授業中に僕はノートの切れ端を使って当時流行っていたダジャレを書いて絢音によく渡していたんだ。

くだらないなりにも彼女は笑ってくれて、それを見た先生が絢音に注意をしたんだ。

「南、何がおかしい。」
「あ、いえ、何でもありません!」

先生が、黒板に何か書き始めると彼女は僕の方をみてニコッと笑ってピースをした。
そんな毎日が僕には楽しみだった。

中学の頃の彼女は、学級委員長も務めるほどの優等生で成績も優秀なしっかり者。
部活は、吹奏楽部、何の楽器だったかは・・・思い出せない。
絢音の性格は優しく、どんな子にも好かれる心の優しい子だったと思う。

一方僕はというと、成績は中の下くらい。それほど頭が良いというわけでもなく、ごく普通の中学生だった。身長は後ろから数えた方が早く、それだけは自慢だった。
取り柄といえば、人に好かれたい一心で相手の機嫌を伺うこと。
それが本当に得だったかというと・・・よくわからない。

あの頃の僕は、彼女を恋愛対象としてはみていなかったと思う。
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第一章 03 卒業
それから2年が経ち、僕らは卒業式を迎える。
式典が終わり、教室では別れを惜しむように、最後の時を迎えていた。

僕が教室で数人の友達と話をしていると、廊下には絢音の姿があった。
キョロキョロと周りを見回し、誰かを探してる。
彼女は大事そうに卒業アルバムを抱えていた。
僕は、気にせず友達と話をしていたが、絢音がこっちに近づいてきたのだ。

「蓮!これにメッセージ書いて!」

ヒューヒューとクラスのみんなが僕らを冷やかした。

「ラーブラブ♪ラーブラブ♪」
と掛け声がかかる。
「蓮はやっぱり絢音ちゃんだよな~。」
「二人は学校一のお似合いカップルですから~。」
ムードメーカーの純平と修が皆にさらに火をつけた。

「ほらほら!みんな騒ぐなって!俺たちは何でもないんだから。ただの友達、友達。」
「なぁ、絢音。」
と僕は、絢音の頭をトントンと優しくたたいた。
「うぉぉ~」
と男性陣が持ち上げる。

絢音は笑顔でみんなに指を指して言い張った。
「もちろんだよ!友達、友達!あったり前じゃんか~、みんな勘違いし過ぎだよ~。私たちがカップルなんてあ~り~え~ないし~。」

しっかり者の絢音はこれくらいのことは日常茶飯事だ。
ようやく騒ぎは収まり、何事もなかったかのようにいつもの教室に戻る。

「蓮、これ書いて。」
絢音が大事に持っていたアルバムを僕に渡した。
僕はアルバムを開くと、最後の白紙のページ開いた。

「はい。」
絢音は数本持ったペンの中から青色のペンを渡してきた。
僕が色の中で青色が好きということを絢音は知っていた。

「え~っと。」
こうゆうのは苦手だ。正直面倒だったし、普段なら断るけど最後だから仕方なく書いた。

絢音のバーカ! 蓮

「ほら、できたぞ。」
パッとアルバムを閉じて絢音には見せずに渡した。
「やったー、ありがとう!」
絢音はまんべんの笑みで喜んだ。

絢音も僕のアルバムにメッセージを書きたいと駄々をこねたが面倒だと言って断った。
少しだけ強がっていたのかもしれない。

最後の言葉はふざけていたわけじゃない。
これが最後になるんじゃないかと不安だったから。
このままの毎日がずっと続けばいいと思ったんだ。
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第二章 01 再会
その後の二人は、別々の高校に進学した。

入学して数カ月、絢音とのやり取りは続いた。
けれど、僕に初めての彼女ができてから少しずつメールの量は減っていく。
彼女を大事にしたいと思う僕は自然と絢音との関係を避けていったのだ。
一年が経つと、僕らの関係はもう過去の記憶となっていた。

それから数年が経ち、20歳の成人式。

成人式は、地元の市内の文化会館で開かれた。
僕は、友人の如月美咲と、新庄翼の三人で会場に向かう。
僕らは親友であり、中学からの幼馴染だ。

前日の夜中まで美咲の家で中学の頃の話をして盛り上がった。
卒業アルバムを見返しながら、あいつはどうなったとか、あの先生は嫌いだったとか。
そんな話をすると自然と中学の僕らに戻れる気がしていた。

話は明け方まで続く・・・

早朝、僕は家に戻り身支度を済ませる。
紺色のスーツを羽織り、白色のネクタイを身に付ける。
普段よりずっと大人にみえるなぁと自分を頼もしく感じた。
中学の頃の僕は、スーツを着ている人をみると凄く大人というイメージがあった。
こんな僕が、大人と呼ばれる歳になったのか。
日本の未来は大丈夫だろうか。とくだらないことを考えていた。
「よし!」
気合いを入れなおして自分の部屋を出る。
その時、プップッーと車のクラクションがなった。
美咲だ!
急いで玄関に向かい、朝食はいいからと母に告げて外に飛び出した。
車の後部座席に乗ると、助手席には、翼の姿があった。
彼らも紺や黒のスーツで普段見慣れない大人な格好をしている。

「おぉ!蓮きたか。」
「眠いな。」
「眠い、けどテンションは高いぞ。」
といつもの翼らしいセリフだ。

「確かに・・。今日は特別だからね。」
「そうだな、楽しもうぜ。」
「それじゃ~行きますか!」
と美咲の掛け声と共に車は会場に向かった。

会場までは、30分ほどだっただろうか。
車中の間も、相変わらず中学の頃の思い出話で盛り上がる。

ふと外をみると、卒業した中学校の前を通った。

いつも通る場所なのに今日はなんだか少し懐かしい感じがする。


あの頃の僕は、早く大人になりたかった。
けれど今はあまり大人になりたくはない。

できることなら僕は、ずっと子供でいたいな。
あの頃のように余計なことを考えずに、
まっすぐに前を向いていたいから。


会場に到着すると、懐かしい顔ぶれが並んでいた。

当時クラスのムードメーカーだった純平と修、少し真面目で優しい智也、スポーツ万能の浩ちゃん、面倒見の良かったくみちゃん。
赤ん坊を腕に抱えている子もちらほらいた。もう子供がいるなんて。
驚きもあったがみんな変わっていないような気がした。

久々のみんなに会えてほっとしていたのもあっただろう。
ぼ~っと周りを見回してみた。
翼と美咲はそれぞれのクラスの友達のところで話をしている。
みんな楽しそうだ。僕も誰かに声をかけてみよう。
とその時、後ろから声が聞こえた。

「ねぇ・・・もしかして蓮?」
僕は、その声に気付き後ろを振り向いた。

「あ、・・・。」

一瞬、静止してしまったが、見覚えのある顔、絢音だ。

身長は、160cmを超えるくらい、白と赤の花柄の着物を身に纏い、髪の毛を綺麗に束ねている。顔つきは中学の頃の面影が残るが、すらっとした高い鼻に優しい目、いつもの笑顔といった感じで、中学よりもずっと大人な彼女がそこにいた。

「あやね・・・?」
「そうだよ。・・・さては随分会わないうちに顔も忘れちゃったかな?」
「いや~そうじゃないけど、あまりにも綺麗だったから。」
と冷静を保つふりをしながらも僕は心の中で動揺していた。
「あはは、褒めても何も出ないけどー。」
と絢音は微笑んだ。
「まじで?期待したのに。」
「あー、蓮、ひどいよ~。」
「あはは。相変わらず元気そうだな。」

僕らは、あの頃とまるで変わっていなかった。

いや、変わったことといえば彼女が美しい目をしていたことだ。
彼女の目は、何か特別なものを感じさせる。
充実した毎日なのか、愛情に満たされた生活を送っているのかはわからない。
けれど周囲を惹きつける何かを感じた。

それから、数年分の過去を埋めるように僕らは話し続けた。

絢音は高校を卒業してから大阪の大学へ進学した。
子供への教育を専門に扱う学部で将来は子供に携わる仕事をしたいらしい。
僕は、東京の大学に通っているため、東京と大阪というところに少し距離を感じていた。

恋愛の話も少しした。
絢音には今彼氏がいるそうだ。
大学を大阪にしたのも彼がそこに住んでいるからという理由で進学先を大阪にしたのだそうだ。
僕にも当時付き合っていた彼女がいたが、絢音への恋愛(彼氏)に対する姿勢は本物だった。
彼のために大阪に行くなんて・・・。簡単にできることじゃない。

中学の頃の絢音とは、別人のようにも思えた。
あの頃の君は、恋愛を語るなんて一度もなかったのに。


二十歳になった絢音の目は愛情に溢れていて、
傍にいるだけでなんだか温かい気持ちにさせてくれた。



まるでコップに注がる水にように、
止まることのない愛が溢れて周りを幸せにさせてくれた。




けれど、もし溺れてしまうなら・・・





もし助からないと初めから分かっていたら・・






僕は君の手を握り締めて離さなかったのに





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